2013-11-25

ディスプレイ広告から読み解くインドネシアのネット環境(第二弾、アドネットワーク編)

以前に、インドネシアのディスプレイ広告のざっくりした内容を書きましたが、今回はAdNetwork・AdExchangeに的を絞ったエントリーです。
以前の記事はこちら、ディスプレイ広告から読み解くインドネシアのネット環境(第一弾)


【アドネットワーク】

①Google Display Network




圧倒的なインベントリーシェア、クライアントの多さです。やはりGDNは一番最初に書かなくては。

ComScoreのデータによると、インドネシアのTOTAL Internet Audience(1,360万人、2013年7月) の内、1,220万人(89.7%)はGDNでリーチが可能とのこと。すごいですね。

GDNの強みは、
1) 圧倒的なリーチ
上記の通りです。日本では考えられませんが、最大手 Online MediaのTOPページにもばんばんGDNからの広告が配信されてます。それだけ純広告が売り切れてないということですが。

2) CPCが安い
他アドネットワークに比べてCPCが安い。ADXに在庫をはいているとは言え、インドネシアのADNWは日本・アメリカみたいに数多くのプレーヤーがいるわけではないので、DSPのマシーンラーニングで最適化するより、Adwordsから直買いした方が安いです。(今は)

3) 細かいターゲティング設定、レポート
DSPでないため、ほとんどは手動で設定しなければいけないのですが、それであるが故、細かいターゲティング設定が可能です。
おなじみの、Keywords、Topic、Placement、Interest、Remarketing、Demographicだけでも細かくターゲティングできますが、ベータ版メニューを使えば、Affinity Segments、Search Plus など魅力的なターゲティング機能があります。

4) Remarketingリストが扱いやすい
Tag Base, Rule Baseの2通りありますが、リストを作るにあたり組み合わせは自由自在なのでいかようにも1stPartyデータでセグメント可能です。
また、Analyticsからのリマケリスト共有、Tag Managerでの管理など、使いやすくなってますね。

5) デバイス(PC・Tablet/Mobile)出し分けが可能
初めてEnhancedのことを聞いた時、「デバイスターゲできないんじゃないの?」って不安がよぎりましたが、Mobileは引き続き切り分けられるので出し分け可能です。
ブランドにもよりますが、ECや金融の獲得系ブランドの場合は、モバイルからCVは上がらないですね。

GDNの特徴はまだまだたくさんあるのですが、マニアックな話になっていくのでここで終り(笑)


②AdPlus

インドネシア国内有名ADNWの一つです。
先のComScoreのデータによると、600万人、45%のユーザーにリーチ可能です。

特徴は、リッチバナークリエイティブ
AdPlus TV、Video Edgy、Story Boardなどのメニューで、映像や音を盛り込みながらバナー表示します。
CPM買いのみですが、平均CTRからCPC割り戻すとGDNよりかなり高め。
GDNとは使う目的が違うので、一概には比べられないですが。

AdPlus TVのサンプル



③ SITTI


こちら、インドネシアの会社がやっているContextual Targetingです。
あまり有名ではないですが、テクノロジーに強みがあります。

インドネシアの会社なので、インドネシア語のテキストマイニングの精度が高いです。
おそらく、インドネシア語に関してはGoogleより精度がいいと思います。

例えば、キーワードが「XL」の場合、インドネシアでは2通りの意味があります。
ⅰ) XL: 大手モバイルプロバイダ
ⅱ) XL: 大きいサイズのXL

SITTIはこういった複数の意味が取れる場合は、前後の文脈からどちらの意味で使われているかを読み取り、広告を出し分けます。いや、出し分けると言われています(笑)


キーワードの関連性も分析し、クラスタ化してターゲティングに使えるようにもしています。


個人的に注目している会社の一つです。


【DSP】

④Innity


Malaysiaから始まった東南アジアでは最も有名なネットワークの一つです。

東南アジアのほとんどの国をカバーしています。

去年、日本のDACのPLATFORM ONEと資本業務提携しています。
リリースはこちら⇒ DAC、東南アジア最大級のアドネットワークを運営する Innity(イニティ)と資本業務提携

リリースを読む限り、Market One RTB、YIELD Oneプラットフォームの提供ですね。

Innityの強みは
1) ネットワークのインベントリーの多さ
カバーしている国のTOTALで、配信可能なwebサイト1万以上、月間ユーザー訪問数5,000万人月間20億Imp以上あるとのこと。

2) Platform Oneのプラットフォームが使える
日本の最先端のアドテクノロジーをすぐに東南アジアで利用できるのはいいですね。
P-Oneの裏にはIponWebがいると思うので、世界最先端のテクノロジーと言ってもいいかもしれません。
プラットフォーム・ワン、IponWeb と合弁会社を設立

Iponwebはロシアの会社で20以上の国の40以上のプラットフォームのテクノロジーパートナー。


⑤Komli

Innityと同様に、東南アジアで有名なネットワークの一つです。
去年ADMAXを買収しました。
Komliは使ったことないので、どんな機能・特徴があるかわかりません(笑)
けど、おそらく一般的なDSPの機能はすべて備えているかと。違ったらすみません。

ディスプレイとは関係ないですが、東南アジアでのTwitter広告販売ライセンスを持っているので、そこは強いですね。



最後に、インドネシアのアドネットワーク、AdExchangeに関して個人的な今後の展望を。

数年間(あるいは、ずっと)、Google Display Network が圧倒的なシェアを取り続けると思う。
理由は3つ。

1)インベントリーが多い、しかも圧倒的に
こちらは上述の通り。

2)GDNの機能が進化し続けている
リッチクリエイティブに関しては、Googleのベータ版メニューで既に出てきている。
GDNのバナー枠に、インタラクティブなクリエイティブを表示できるし、動画も流せるようになっている。
最適化に関しては、(一応)最適化ツールがある。Conversion OptimizerやDCO等。(現段階の精度は別として)

また、より高度な運用・よりリッチなクリエイティブを求めるなら、DoubleClickの第三者配信を行えばいい。(値段は高くなるけど)

3)DSPが流行る程、状況は複雑化してない
ADNWの数が多いわけではなく、また彼らが独自のインベントリーを持っているわけではない(ほとんどがGDNと同じ)なので、どんなにかしこい配信エンジンでも最適化は微々たるものではないかと。
もちろん、Imp毎の入札で配信主と配信先のマッチングを行うので n対n の数が大きくなればなるほど最適化される可能性はあるけど、その日はかなり先だと思う。AdExchangeに使われる、Googleの在庫の質もやはり気になるところ。


日系ネット企業でも、MicroAdのBLADEアドウェイズ・インタースペースのASPなどサービスローンチをしており、如何に在庫を囲って、在庫の価値を高めていくかと言った勝負になりそうですね。

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