2013-09-15

インドネシアのネット普及率は何パーセントなのか?

インドネシアでネット系ビジネスを始める方であれば一度は調べたことがあると思われる
「ネット普及率」に関しての投稿です。

日本であれば総務省など信頼性のある機関からのデータがありますが、
インドネシアでは出所によって数値にバラツキがあります(笑)


さまざまな出所からの数値をご紹介します。派生するデータも一緒に。


①The Internet's New Billion (THE BOSTON CONSULTING GROUP)

こちらはBCGのインドネシア内では良く知られているレポートですね。
大手Webメディアがインドネシアネット普及率を説明する時もここのデータを使ってたりします。

ただし、難点はちょっとデータが古い。 Sep 2010に書かれたレポートなので3年前です。


インターネットユーザー数、普及率


インドネシアのネットユーザー数(全デバイス)
2006年:2,000万人
2009年:3,100万人 普及率:12%
2015年:9,400万人(予想) 普及率:37%

2015年で1億人弱まで増えればすごい成長ですね。
住んでる肌カンから言うとそんなに伸びないんじゃないか、って感じです。
Androidがさらに出回って、モバイル回線が整えば可能性はありますが。

インドネシアのPC台数、普及率


2006年:600万台
2009年:1,100万台 普及率:5%
2015年:3,800万台(予想) 普及率:15%

うーん、PC普及台数少ないですね。。。
ジャカルタのオフィス行くと普通に1人1台PC使っているので、こんなに普及率低いものか と疑いたくなりますが、訪問先はみんなネット系の人たちだからかな(笑)


インドネシアのモバイルSIMカード数、普及率


2006年:6,900万枚
2009年:1億6,600万枚 普及率:66%
2015年:2億7,400万枚(予想) 普及率:107%

こちらはモバイルユーザー数ではなく、SIMカード販売枚数です。
1人で数枚使う人も多いので、ユニークユーザー数はもっと少ないです。


インターネット利用目的


他国と比べて特徴があるところをピックアップすると

1. Social networking (58%)
  SNS大国です。FBは世界4位、TWは世界5位のアカウント数です。ジャカルタは世界で一番ツイートが多い都市だそう。

2. Forum (33%)
  昔のブログにも書いた、Kaskusの威力が大きいかと。 CtoC での売買がされていたり、日本の2ch見たいなスレッドがたくさんあります。ちなみにjkt48で検索すると、1,500以上のスレがあります(笑)

3. Job hunting (20%)
  LinkedInがビジネスマンの間で浸透しています。インドネシアでは240万人の登録数です。(SE Asiaで最大)



②Internet Media Habits Decoded (Yahoo! Indonesia)

 こちらはネット普及率ではなくメディアリーチのレポート
2009年のデータなので古い & ネット会社のレポートなので楽観的に見ているところも多い気がしますが、参考までに。

性別・SES別 メディアリーチ


なんと、A1層へはRadioよりインターネットが上だと。
というかテレビ最強(笑)


年齢別 メディアリーチ


15-19歳は新聞よりネットの方がリーチできる。
どこの国も若者の新聞離れはあるみたい。

ちなみにRadioのリーチ率が高いのは、ジャカルタのひどい渋滞の中で車内でラジオを聴く人が多いから。



③International Telecommunication Union

こちらはデジタルデータだと世界的に有名な機関で、よくソース元になっています。

ネット普及率


こちらのデータではBCGよりも低い数値ですね。
2009年 BCG 12%に対して ITUでは 7%
ちなみに2009年のITUデータのソースは Ministry of Communication and Information Technology だそう。

うーん、何でこんなに開きがあるのだろう。。。


④Mark Plus

インドネシアの最大手マーケティングコンサルティング会社
創業者のHermawan Kartajaya はコトラーと一緒に「MARKETING 3.0」を執筆した人。

ネット人口


2011年で5,500万人がネット利用で全体のの22.1%。
ITUが同年18%なので、ここでも若干開きがある。。

最新データ2012年は6,100万人がネット利用者。割合にして25%

⑤eMarketer

こちらは世界中のデジタルデータのマーケットリサーチをしている会社。

ネット人口、普及率


2011年データで43M17.5%。ITUの18%とほぼ同じ
2012年データは約60M24%。こちらはMark plusの12年データ61.1M、23.5%とほぼ同じ
2015年予想はBCGの94Mの37%とほぼ同じで、93.4M36.5%


スマホ人口、普及率


先のBCGはSIMカード販売台数でしたが、こちらはスマホの販売台数です。
2013年は3,800万台で人口の15%が利用予想。自分の想像より高いです。


⑥Google 




ネット人口、普及率 2012年 5,840万人(24%)
スマホ人口、普及率 2012年 2,160万人 (9%)

Mark plus, eMarketerのデータとほぼ同じ。どうやらこの近辺の数値が信憑性あると言えそうな感じです。

⑦comScore


ネット人口、普及率 2012年 4,700万人(19%)
他と比べて若干低いですね。インドネシアであれば5%は誤差の範囲内と言っちゃいそうですが(笑)

comScoreは面白いデータも出していて、インドネシアのDisplayAdのKey Measuresがあります。
最新の Jul 2013 のデータより。

TOTAL UV 1,362
 つまり今年の7月はディスプレイ広告で1,362万人にリーチできたということ。
 総人口で割り戻すと5%。。。うーん、少ない(笑)
 ディスプレイだけではなく、サーチや動画の広告もあるのでデジタルでのリーチはもっと高いけれども。

参考までに、上記の1,362万UVのうち、Googleがカバーしている数は1,228万人 (90%)
圧倒的な強さです、Googleは。



⑧おまけ ネット接続スピード (Akamai Report)


2012年で6,000万人くらいがネットに接続しているインドネシア。
インドネシアでネット接続したことがある人はほとんどが「ネット遅いな~」って言ったことあると思います(笑)

どれくらい遅いかを Akamaiのreportからデータで見ます。
Akamaiは世界最大手のコンテンツデリバリネットワーク (CDN) で全世界のトラフィックの15%~30%くらいさばいているとか。


Avg. Connection Speed

 日本平均 11.7Mbpsに対して、インドネシア1.5 Mbps。平均およそ8分の1のスピード。

Broadbandの割合


> (左)10Mbpsの割合:日本43%に対して、インドネシア0.2%
> (右)4Mbpsの割合:日本79%に対して、インドネシア3.7%


やはりインフラが貧弱ですね。
インドネシアのネットサービスの成長スピードはBiznet、FirstMediaにかかっているかもしれません(笑)

 

まとめ

長くなりましたが、纏めます。

2012年 インドネシア ネット人口は約6,000万人(全人口の24%)
2015年には1億人弱まで伸びる予想


インドネシアのデータはソースによってまだ数値のばらつきが多い。
誤差を許容する寛容な心が大事かもしれません(笑)

2013-09-01

インドネシアのEC事情

今日は何かと注目されている インドネシアのEC事情 に関して。

まずは、BtoC ECのマーケット規模・今後の成長予測 から。
*トラベル(フライト&ホテル)、Digital DLs、オンラインチケット販売も含まれます。
 CtoC取引は含まれません。


2011年のEC売上は $0.56B 、今年の予想は $1.79B
伸び率はすごいけど、絶対数がまだ少ない状態。
それでも $1.7B あるのがちょっと意外ではありますが。

中国の伸びははんぱないな(笑)


次は ネット利用者を分母としたEC利用者割合


2013年で10%程度 です。
ネット利用者が 5,000万人程度なので、およそ 500万人 がオンラインで何かを買っている。
日本は ネット人口9,610万人(総務省)の78% = 7,500万人がオンラインで何かを買っている計算。

日本の2倍人口が多いインドネシアなのに、絶対数が少なく、やはりネットサービスはまだまだこれからですね。


また、CtoCも入れたインドネシアのEC規模 は下記の通りです。
*だだし、このデータはトラベルは含まれないので、前の表と単純に比較できませんが。





 CtoC取引プラットフォームではKaskusが最強です。



また、2011年のインドネシアでのトランザクションの平均単価は $256/Person,Year
中国が $800 なので、平均購入単価もまだまだ低いですね。


続いて、インドネシア国内でECで売れている商品カテゴリ


このデータはトランザクション額ではなくトランザクション数だと思います。
数ではファッション、額ではElectronics(ガジェット含む)がこの国のトレンド。


ちなみにファッションカテゴリはここ数年 Google検索数が大きく伸びているカテゴリの一つ です。
ちょっとマニアックなデータですが参考までに。

Apparel Auction Metrics(Google Search)

グラフの作り方を変えると。。。(CTs,CTRも追加)
 
Queriesの伸びに対してImpの伸びの方が大きいということは、リスティング買う広告主が増えているということ。

BigKWである [baju online](洋服 オンライン の意)を検索した時のリスティング出稿状況のキャプチャ。

 
11枠きちっとリスティングでてますね。競争が激化しています。



ECに話を戻すと、決済に関しては、
  • 多くが銀行振込
  • 30%がクレジットカード
でトランザクションしているようです。

銀行振込の時は実際に振込まで行かない人もいるので、
オンラインコンバージョンからリアルトランザクションまでいかに割合落とさず結びつけるかも大事です。


最後にインドネシアECに関する個人的な見解を。
注目はされているものの、マーケット規模は以前小さいまま。
数年ではなく、5年・10年かけてようやくECで成功する会社が出てくると思う。

ネック は、
  • 決済手段が銀行振込(クレカの普及率が低い、貸し倒れが多く政府も規制を強化するかも)
  • ロジスティックス(管理、配送時の渋滞、転々とする島々)
  • ユーザーのネットリテラシ
  • リアルなショッピングがレジャーの一つであること
  • 政府がECトランザクションに税金を上乗せするかもしれない

ポジティブサイド は、
  • EC協会ができ、ユーザーへの信頼性向上、ロビー活動(おそらく)などやっている
  • Carrefour等大手オフラインショップがオンライン販売を始めている


いつかインドネシアの個別ECサイトに関する記事も書こうと思います。忘れなければ(笑)

データソース:Google, emarketer, veritrans, DailySocial